インフルエンサーPRでは、TikTokとInstagramのどちらが優れているかを一律に決めることはできません。
新しいユーザーへの認知拡大、商品理解、店舗予約、購入促進など、施策の目的によって適した媒体は変わります。
重要なのは、SNSの知名度ではなく、商品とターゲットに合うクリエイターがどちらにいるかを判断することです。
TikTokとInstagramの違いを比較
TikTokとInstagramは、どちらもショート動画を使って商品やサービスを紹介できるSNSです。
ただし、ユーザーとの接点や利用できる機能には違いがあります。
| 比較項目 | TikTok | |
|---|---|---|
| 主な動画形式 | TikTok動画 | リール |
| 新規ユーザーへの接触 | おすすめフィードを活用 | リールや発見タブなどを活用 |
| フォロワー外への配信 | あり | あり |
| 動画以外の投稿形式 | 写真投稿・LIVEなど | フィード・ストーリーズ・LIVEなど |
| PR投稿の広告活用 | Spark Ads | パートナーシップ広告 |
| 購入・予約への導線 | プロフィール、広告リンク、対象機能など | プロフィール、ストーリーズ、広告リンクなど |
※利用できる機能はアカウントや地域、プラットフォームの仕様によって異なります。
「TikTokは拡散する、Instagramはフォロワーにしか届かない」は正確ではない
TikTokは、おすすめフィードを通じてフォローしていないクリエイターの動画にも接触する仕組みがあります。
TikTokの公式説明では、視聴時間、いいね、コメント、シェア、動画の情報などが、おすすめ表示に影響する要素として挙げられています。
一方、Instagramもフォロワー以外にリールを届ける仕組みを持っています。
そのため、「TikTokは拡散するが、Instagramはフォロワーにしか届かない」という理解は正確ではありません。
両方のSNSで新しい視聴者に接触する機会があり、実際の再生数は投稿内容や視聴者の反応などによって変わります。
媒体を比較するときは、この前提で考える必要があります。
TikTokが向いているPR施策とは?
TikTokを検討したいのは、商品の認知拡大や、短い動画で特徴を伝える施策です。
たとえば、次のような商品は動画での紹介方法を考えやすい傾向があります。
- 使用前後の違いや使い方を映像で説明できる商品
- 実演によって特徴が伝わるガジェットや生活用品
- 調理工程や商品の見た目に特徴がある食品
- 初めて見る人の興味を引きやすいサービス
ただし、これらの商品ならTikTokで高い成果が出るという意味ではありません。
大切なのは、視聴者が短時間で商品の特徴を理解できる動画を制作できるかどうかです。
なお、TikTokではフォロワー数と実際の再生数が一致しないケースが特に目立ちます。起用候補を比較する際は、直近20投稿程度の再生数中央値を確認する方法が有効です。具体的な求め方と比較手順はインフルエンサーをフォロワー数で選んではいけない理由と、代わりに見るべき指標で解説しています。
Instagramが向いているPR施策とは?
Instagramの特徴は、リールに加え、フィード投稿やストーリーズ、プロフィールなどを組み合わせて情報を伝えられることです。
たとえば、美容サロンや飲食店のPRでは、リール動画で興味を持ったユーザーが、クリエイターのプロフィールや他の投稿を確認する場合があります。
商品を紹介する動画だけでなく、普段の投稿内容や発信している世界観も、選定時の判断材料になります。
Instagramで検討しやすい施策には、次のようなものがあります。
- 店舗の内装や雰囲気を映像で伝える
- ファッションや美容商品の使用イメージを紹介する
- 旅行・宿泊施設の魅力を複数の投稿形式で伝える
- 商品の詳細や購入先への導線を組み合わせる
ただし、こうした商材がTikTokに向いていないわけではありません。
「美容ならInstagram」「ガジェットならTikTok」と決めるのではなく、実際のクリエイターと視聴者の相性を確認することが重要です。
ストーリーズへの投稿は報酬に含まれているとは限らない
InstagramのPRを依頼する際に見落としやすいのが、投稿形式ごとの切り分けです。
リール投稿の報酬に、ストーリーズへの追加投稿が含まれているとは限りません。
「リールを1本投稿してもらえば、ストーリーズでも紹介してもらえる」と考えていると、後から追加費用が発生することがあります。
依頼時には、投稿形式と本数をそれぞれ明記して見積もりを取ってください。
費用はTikTokとInstagramのどちらが安い?
インフルエンサーPRの費用は、TikTokだから安い、Instagramだから高いという単純な関係ではありません。
費用を決めるのは媒体ではなく、クリエイターの規模、投稿本数、制作内容、二次利用の有無、管理業務の範囲です。これらの内訳はインフルエンサーマーケティングの費用相場と、見積もりの中身にまとめています。
たとえば、TikTok動画1本が10万円、Instagramリール1本が15万円という見積もりがあったとします。
これは比較方法を説明するための仮の金額です。
この場合、単純にTikTokの方が安いと判断するのは適切ではありません。
それぞれのクリエイターの再生数中央値や視聴者属性、制作内容が異なるためです。
媒体をまたいで見積もりを比較するときは、金額ではなく「同じ条件になっているか」を先に確認します。 投稿形式、本数、撮影方法、修正回数、広告利用の可否がそろっていなければ、金額の差に意味はありません。
どちらに依頼するか迷ったときの判断基準
媒体選びで迷った場合は、TikTokとInstagramの特徴だけでなく、施策の目的と候補クリエイターを比較します。
| 施策の状況 | 優先して確認したいこと |
|---|---|
| 新商品を広く知ってもらいたい | 再生数中央値、リーチ、視聴者属性 |
| 飲食店の予約を増やしたい | 視聴者の地域、店舗紹介実績、予約導線 |
| 美容商品を紹介したい | 商品ジャンルとの相性、動画の表現、PR投稿の反応 |
| EC商品の購入を増やしたい | 購入導線、商品紹介の質、効果測定方法 |
| ブランドイメージを伝えたい | 普段の投稿内容、表現の方向性、視聴者との相性 |
媒体を決める前に、両方で3人ずつ候補を出す
実務的におすすめなのは、媒体を先に決めないことです。
TikTokで3人、Instagramで3人を候補に挙げ、再生数中央値、視聴者属性、投稿費用を同じ基準で整理します。
そのうえで、目的に合う候補が多い媒体を優先します。媒体の一般論ではなく、実際に起用できる人を見て決める方法です。
予算に余裕がある場合は、両方のSNSで少数のクリエイターを起用し、実際の反応を検証する方法もあります。
ただし、TikTokとInstagramでは指標の定義や視聴者の行動が異なるため、再生数だけで単純比較しないことが重要です。
認知目的ならリーチや再生傾向、購入目的なら計測できた購入数や獲得単価など、共通の目的に沿って評価します。媒体をまたいで比較するときの指標の揃え方はインフルエンサーマーケティングの効果測定方法で解説しています。
TikTokとInstagramは、媒体よりクリエイターとの相性で選ぶ
インフルエンサーPRでは、どちらのSNSが優れているかよりも、誰に、どのような内容を発信してもらうかが重要です。
TikTokとInstagramの両方に新しいユーザーへ動画を届ける仕組みがあり、どちらでも商品認知や購入促進を目的とした施策を設計できます。
そのため、最初から媒体を一つに決めつける必要はありません。
まずは目的と予算を整理し、候補となるクリエイターの直近の投稿実績や視聴者属性を確認します。依頼前に決めておく項目はショート動画PRを依頼する前に決めておく3つのことにまとめています。
なお、どちらの媒体でも、投稿した動画を広告や自社サイトで使う場合は別途許諾が必要です。TikTokのSpark Ads、Instagramのパートナーシップ広告はいずれも事前の手続きが要るため、広告利用を予定しているなら依頼段階で伝えてください。条件はPR動画の二次利用とは?広告や自社SNSで使うときの費用と確認事項で解説しています。