TikTokやInstagramでショート動画PRを始めるなら、依頼前に決めておきたいのは**「目的」「訴求内容」「予算」**の3つです。
この3つが整理されていれば、SNSの運用経験がなくても、クリエイターの選定や見積もりの相談を具体的に進められます。
① 目的を決める:認知・来店・購入で施策は変わる
ショート動画PRを検討するとき、最初に決めるべきなのは「何のために動画を投稿してもらうのか」です。
目的によって、選ぶクリエイターも動画の構成も異なります。
たとえば、新商品の発売を多くの人に知ってもらいたい場合と、飲食店への来店を増やしたい場合では、適した施策は同じではありません。
| 目的 | 施策の考え方 | 主な確認指標 |
|---|---|---|
| 認知拡大 | 商品やブランドを知ってもらう | 再生数・リーチ |
| 興味喚起 | 商品の特徴や魅力を理解してもらう | 保存数・コメント・プロフィール遷移 |
| 来店・予約 | 店舗への行動につなげる | 予約数・専用リンク経由の行動 |
| 購入促進 | 商品購入につなげる | 購入数・売上・コンバージョン率 |
ここで重要なのは、再生数を増やすことと売上を増やすことを混同しないことです。
動画が多く再生されても、商品を購入する可能性が低い人に届いていれば、売上にはつながりにくくなります。
一方、再生数が比較的少なくても、商品に関心のある視聴者に届くことで問い合わせや購入が発生する場合があります。
目的は一つを優先する
初めてPRを実施する場合、認知・来店・購入のすべてを同時に追いかけると、動画の内容や評価基準が曖昧になります。
まずは最優先の目的を一つ決めます。
たとえば「新商品の認知拡大」を優先するなら、商品の特徴が短時間で伝わる動画を設計します。
「店舗予約」が目的なら、店舗の雰囲気だけでなく、アクセス、利用シーン、予約方法まで伝える必要があります。
最初に目的を明確にすることで、依頼先との認識のずれを減らせます。
② 訴求内容を決める:何を、誰に、どう伝えるか
次に整理するのは、動画で伝えたい内容です。
クリエイターに商品を渡して「自由に紹介してください」と依頼する方法もありますが、企業が伝えたい情報と、完成した動画の内容が一致しない可能性があります。
ただし、細かく台本を指定しすぎることにも注意が必要です。
ショート動画では、クリエイターが普段投稿している動画の雰囲気や表現が、視聴者との相性に関わります。
企業側が決める情報と、クリエイターに任せる表現を分けることが重要です。
| 企業側で整理すること | クリエイターに任せる余地があること |
|---|---|
| 商品名・サービス名 | 動画の導入や見せ方 |
| 正確に伝えるべき機能・特徴 | 構成や演出 |
| 価格・販売条件 | 話し方やテンポ |
| 避けるべき表現 | 視聴者に合った言葉選び |
| 必要な広告表記 | 撮影アングルや編集方法 |
たとえば、新しい美容家電を紹介する場合を考えます。
企業側では、商品の機能、使用方法、販売価格、注意事項などを正確に伝えます。
一方、実際の使用シーンの見せ方や、動画の冒頭でどのように興味を引くかは、クリエイターと相談して決めます。
商品に関する事実は企業が責任を持って確認し、表現面ではクリエイターの強みを活かす設計です。
TikTokとInstagramはどう使い分ける?
どちらのSNSを使うかも、商品とターゲットを基準に考えます。
| 比較項目 | TikTok | Instagramリール |
|---|---|---|
| 主な活用例 | 商品発見・話題化・認知拡大 | 商品紹介・ブランド理解・店舗訴求 |
| コンテンツの特徴 | 短い導入や動画の展開を重視 | 映像表現や世界観も活用しやすい |
| 確認したいこと | 投稿ごとの再生傾向、視聴者属性 | リールの反応、保存、プロフィールへの導線 |
※上記は一般的な活用例であり、各SNSの効果を保証するものではありません。どちらも認知から購買まで幅広い目的に利用できます。
重要なのは「TikTokだから若者向け」「Instagramだから女性向け」と単純に判断しないことです。
実際に候補となるクリエイターの視聴者属性や投稿内容を確認し、商品との相性から選びます。
なお、クリエイターの選定ではフォロワー数以外の指標も確認します。考え方はインフルエンサーをフォロワー数で選んではいけない理由と、代わりに見るべき指標で解説しています。
③ 予算を決める:投稿費だけでなく総額で考える
3つ目は予算です。
インフルエンサーPRの費用は、依頼するクリエイターの人数、投稿本数、制作内容、二次利用の有無などによって変わります。
そのため、最初から「フォロワー10万人の人に依頼したい」と決めるよりも、使える総予算を整理する方が、施策を設計しやすくなります。
予算は「投稿報酬+進行管理+実費+二次利用」で考える
見積もりは、クリエイターへの投稿報酬だけで構成されるわけではありません。企画・進行管理費、商品発送などの実費、動画を自社で使う場合の二次利用料が加わります。
同じ総額でも、クリエイターの人数を増やす、制作内容を充実させる、広告配信費に配分するなど、複数の設計方法があります。
たとえば、まず3名を起用して異なる表現を試す方法と、1名に複数本を依頼して訴求を変える方法では、得られる検証データも異なります。
予算が限られている場合は、最初から多くのクリエイターに依頼する必要はありません。商品と相性のよい候補を絞り、結果を確認したうえで次回の施策を設計する方法があります。
費用の内訳や、総予算からの配分例はインフルエンサーマーケティングの費用相場と、見積もりの中身にまとめています。
二次利用の予定も最初に伝える
投稿された動画を、自社の広告やWebサイトで使いたい場合は、依頼段階で伝えておく必要があります。
クリエイターのSNSに投稿する許可と、企業が別の場所で動画を使用する許可は、同じではありません。
二次利用では、使用媒体、利用期間、編集の可否、追加費用などを確認します。
公開後に利用範囲を広げようとすると、追加の交渉が必要になる場合があります。詳しくはPR動画の二次利用とは?広告や自社SNSで使うときの費用と確認事項で解説しています。
初めてのPR依頼でよくある3つの失敗
目的・訴求内容・予算を整理しても、進め方によっては期待していた結果を評価できないことがあります。
特に注意したいのは、次の3つです。
1. フォロワー数だけで依頼先を決める
フォロワーが多いことと、PR動画が多く再生されることは同じではありません。
直近の投稿実績、視聴者属性、投稿ジャンルを確認せずに起用すると、想定していたターゲットに届かない可能性があります。
2. 動画の内容を細かく指定しすぎる
企業側がすべてのセリフや構成を指定すると、クリエイターが普段発信しているコンテンツから大きく離れる場合があります。
商品情報の正確性や広告表記は企業側で管理し、動画の表現はクリエイターの意見も取り入れます。
3. 投稿後の評価方法を決めていない
PR動画を投稿した後に「思ったより再生されなかった」「売上が増えたか分からない」となるケースがあります。
こうした問題を減らすため、依頼前に確認する指標と期間を決めます。
- 認知目的:投稿7日後・30日後の再生数やリーチ
- 興味喚起目的:保存数、コメント内容、プロフィール遷移
- 予約・購入目的:専用リンクやクーポンを利用した行動
これらは評価方法の例です。取得できる指標や集計条件はSNSや導線によって異なります。
また、専用リンク経由の購入数だけですべての売上効果を把握できるわけではありません。動画を見た後に別の経路で購入する場合など、計測できない行動もあるためです。CPAやROASの計算方法、UTMパラメータを使った計測の準備はインフルエンサーマーケティングの効果測定方法にまとめています。
目的・訴求内容・予算が決まればPRの相談はできる
初めてインフルエンサーPRを依頼する場合、最初からクリエイターを決めておく必要はありません。
まずは、以下の情報を整理します。
| 項目 | 相談時に伝える内容の例 |
|---|---|
| PRしたいもの | 新商品、飲食店、サービスなど |
| 目的 | 認知拡大、来店、予約、購入 |
| ターゲット | 20〜30代、特定地域の利用者など |
| 訴求したい特徴 | 商品の強み、価格、利用シーン |
| 希望するSNS | TikTok、Instagram、未定でも可 |
| 総予算 | 10万円、30万円、50万円など |
| 実施希望時期 | 発売前、オープン時、キャンペーン期間 |
すべてを細かく決める必要はありません。予算も最初は概算で構いません。
ただし、商品に関する正確な情報と、避けるべき表現については、発注前に確認できる状態にしておくことが重要です。
インフルエンサーPRは、再生数や売上が保証される施策ではありません。だからこそ、実施前の設計と実施後の検証が欠かせません。