PR動画の二次利用とは、インフルエンサーが制作・投稿した動画を、当初の投稿以外の用途で使用することです。
自社SNSへの転載、Webサイトへの掲載、広告配信などが代表例です。ただし、PR動画を制作してもらったからといって、企業が自由に再利用できるわけではありません。
利用する媒体・期間・編集範囲・追加費用を事前に確認する必要があります。
PR動画の二次利用とは?通常の投稿との違い
インフルエンサーマーケティングでは、クリエイターが自身のTikTokやInstagramに商品紹介動画を投稿する形式が一般的です。
通常のPR依頼は、契約で定めたSNSへの投稿を目的としています。
一方、その動画を企業が別の場所で使用する場合は、契約内容に応じて追加の許諾が必要になります。
| 利用方法 | 二次利用に該当する例 |
|---|---|
| 自社SNS | クリエイターの動画を自社アカウントに再投稿 |
| Webサイト | 商品ページやLPに動画ファイルを掲載 |
| SNS広告 | 動画を広告素材として配信 |
| ECサイト | 商品紹介動画として掲載 |
| 店頭・展示会 | デジタルサイネージやモニターで上映 |
※契約上の二次利用に当たるかは、当初許諾された利用範囲によって異なります。SNSの公式シェア機能や埋め込み機能による表示も、動画ファイルの転載とは区別して確認する必要があります。
たとえば、Instagramのリール動画を制作してもらい、その動画を自社のWeb広告でも使いたい場合を考えます。
リールへの投稿と広告素材としての使用では、利用目的や露出の範囲が異なります。
そのため、投稿費用だけでなく、広告利用についても事前に取り決めることが重要です。
二次利用の費用はどう決まる?追加料金が発生する理由
PR動画の二次利用料には、業界共通の定価がありません。
クリエイターや代理店によって料金体系は異なり、投稿報酬に含まれる場合もあれば、別料金となる場合もあります。
一般的に、次のような条件が見積もりに影響します。
- 利用媒体:自社SNS、Webサイト、SNS広告、店頭など
- 利用期間:1か月、3か月、6か月、1年間など
- 広告への使用:有料広告として配信するか
- 編集の有無:動画の短縮、字幕変更、再編集を行うか
- 利用主体:依頼企業だけで使うか、関連会社や販売代理店も使うか
たとえば、同じ動画でも「自社Instagramに3か月掲載」と「複数の広告媒体で1年間配信」では、利用条件が異なります。
二次利用料を投稿費用の一定割合で設定する料金体系もありますが、一律の料率があるわけではありません。
投稿費用と二次利用料を分けて考える
以下は費用の仕組みを説明するための仮の例です。実際の料金相場やADBIJONの料金表ではありません。
| 費用項目 | 仮の金額 |
|---|---|
| クリエイターへのPR投稿報酬 | 100,000円 |
| 二次利用料(広告利用3か月) | 30,000円 |
| 合計 | 130,000円 |
※税別の仮定。広告配信費や運用手数料は含みません。
ここで注意したいのが、二次利用料と広告配信費は別の費用という点です。
二次利用料は動画を所定の用途で使うための対価です。一方、広告配信費はTikTokやInstagramなどの広告プラットフォームに支払う予算です。
二次利用の許諾を得ても、広告費を支払わなければ有料広告としての配信は行われません。
見積もりを比較するときは、動画の使用料と広告配信費、運用手数料がそれぞれ含まれているか確認してください。見積もり全体の分解方法はインフルエンサーマーケティングの費用相場と、見積もりの中身で解説しています。
TikTok・Instagramの広告利用で注意すること
ショート動画PRの二次利用では、動画ファイルを受け取って広告素材として配信する方法と、クリエイターの投稿を活用して広告配信する方法があります。
この2つは、必要な手続きが異なります。
TikTok:Spark Adsで元投稿を広告として活用する
TikTokには「Spark Ads」という広告形式があります。
クリエイターが投稿した動画を、必要な承認を得たうえで広告配信に使用する仕組みです。
Spark Adsでは、広告による再生やいいね、コメントなどが元の投稿に紐づく特徴があります。
利用するには、対象投稿についてクリエイターから広告利用の承認を得る必要があります。クリエイターがアプリ内で動画コードを発行し、それを広告主が広告マネージャーに登録する流れです。
このとき、クリエイター側で承認期間を選ぶ仕様になっています。 期間が切れると広告を配信できなくなるため、施策の実施期間に対して十分な長さを指定してもらう必要があります。延長したい場合は、改めてクリエイターに依頼することになります。
確認したいのは次の3点です。
- 対象の投稿について広告利用の承認があるか
- 広告利用の許諾期間はいつまでか
- 契約上、広告配信が許可された媒体や条件は何か
注意したいのは、広告コードを取得できることと、契約上あらゆる二次利用が許可されていることは別という点です。
Spark Ads用の承認を得ても、その動画を自社サイトに転載したり、別の広告媒体に転用したりできるとは限りません。
また、承認後は元投稿のキャプションを編集できません。 投稿文に誤りがあっても後から直せないため、広告利用を想定している場合は、投稿を公開する前にキャプションの最終確認を済ませておく必要があります。
Instagram:パートナーシップ広告と動画の転載は別
Instagramにも、クリエイターのコンテンツを活用する「パートナーシップ広告」があります。
クリエイターから必要な権限を得て、広告として配信する仕組みです。
一方、クリエイターのリール動画をダウンロードして企業のInstagramアカウントに再投稿する場合は、別途その利用について確認する必要があります。
広告配信の権限と、動画ファイルの転載・編集・保存に関する権利を混同しないようにしましょう。
また、利用する時点のプラットフォーム規約や広告ポリシーも確認してください。各社の仕様は変更されることがあります。
著作権・肖像権・音源で確認すべきポイント
PR動画の二次利用で、特にトラブルにつながりやすいのが権利関係です。
クリエイターに制作費を支払ったとしても、それだけで動画の著作権が企業に移転するわけではありません。
著作権を譲り受けるのか、定められた用途で使用する許諾を得るのかは、契約で明確にする必要があります。
また、動画には映像以外にも複数の権利が関係します。
| 確認対象 | 注意点 |
|---|---|
| 動画の著作権 | 利用を許可された媒体・期間・範囲 |
| 出演者の肖像等 | 広告やWebサイトへの掲載についての同意 |
| BGM・音源 | 商用利用・広告利用が認められているか |
| 画像・素材 | 第三者の素材に追加許諾が必要か |
| 動画の編集 | カット、字幕変更、再構成が可能か |
特に注意したいのが、動画内で使用されている音源です。
TikTokなどのSNS上で使用できる楽曲であっても、企業の広告や別媒体で自由に利用できるとは限りません。
TikTokは商用コンテンツについて、商用利用向けに権利処理されたCommercial Music Libraryの楽曲を推奨しています。
ただし、商用利用可能な音源であっても、別のSNSやWebサイト、店舗映像などで利用できるかは、それぞれの許諾条件を確認する必要があります。
広告への二次利用を予定している場合は、制作前から音源の選定条件を共有しておくと、公開後の差し替えリスクを減らせます。
動画の編集も自由にできるとは限らない
二次利用の許諾があっても、編集の許可まで含まれているとは限りません。
たとえば、30秒のPR動画を15秒に短縮したり、発言の一部を削除したり、字幕を変更したりする場合です。
編集によって発言の意味が変わると、クリエイターとの認識の相違や、消費者に誤解を与える問題が生じる可能性があります。
日本の著作権法では、著作者人格権も関係するため、編集の可否と条件を事前に取り決める必要があります。
二次利用を依頼する前に確認したい7項目
企業がPR動画を発注するときは、契約前に二次利用の予定を整理しておきます。
以下の7項目を確認すると、発注後の追加交渉や認識のずれを減らせます。
- 使用媒体:TikTok広告、Instagram広告、自社SNS、LP、ECサイトなど、どこで使用するか
- 利用期間:開始日と終了日、期間終了後の対応をどうするか
- 利用料金:投稿費に含まれるか、別料金か、延長費用が発生するか
- 編集の範囲:尺の短縮、字幕変更、音源差し替え、静止画切り出しが可能か
- 素材の納品:完成動画のファイル提供があるか、音源なしの素材が必要か
- 権利の確認:出演者、BGM、画像素材について予定する利用の許諾があるか
- 広告配信の手続き:広告コード・広告権限の付与、許諾期間、管理担当者をどうするか
たとえば、依頼時に以下のように伝えると、見積もり条件を整理しやすくなります。
「TikTokへのPR投稿1本に加え、投稿動画をTikTok広告で3か月間利用したいと考えています。広告配信に必要な権限の付与と二次利用料を含めてお見積もりください。Instagram広告への転用は予定していません。」
これだけでも、依頼する業務の範囲が明確になります。
広告利用をまだ決めていない場合は、発注時に「二次利用を追加する場合の料金と条件」を確認しておく方法もあります。依頼前に整理しておきたい項目はショート動画PRを依頼する前に決めておく3つのことにまとめています。
投稿後も活用できるからこそ、二次利用は事前に設計する
ショート動画PRは、クリエイターのアカウントに投稿して終わりにする必要はありません。
契約上の利用許諾を得ていれば、広告配信や自社SNS、商品ページなど、別の接点でも動画を活用できます。
たとえば、新商品のPR投稿後に、動画を自社の広告クリエイティブとして使用し、別のターゲットへの配信を試す方法があります。
ただし、投稿時に反応が良かった動画が、広告でも同じ成果を出すとは限りません。
広告配信ではターゲティング、配信予算、広告の導線なども結果に影響します。再生数や売上を前提に追加投資を判断するのではなく、目的に沿った検証を行うことが重要です。
二次利用を検討する場合は、投稿費用だけでなく、利用権限・追加料金・広告配信の条件を含めた総額で施策を設計してください。